■マコの傷跡■

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chapter 18



~ chapter 18 “絶望” ~




父が退院する前日、先生に「学費の引き落としが出来ませんでした」という通知を渡された。
毎月、父が指定口座に入れていてくれたのだろう。
きっと今月は入院しているから、銀行に行けなかったのだ。

父の入院している病院に電話し父を呼び出してもらった。
「明日、退院出来るんだってね?お兄ちゃんは来るって?」
父は 兄が車で来る、と答えた。
「そう。あ、あとね、学校から学費が入ってないって言われたんだけど・・・」
私がそこまで言った時、父が急に怒り出した。
「そんな事を言う為にわざわざ病院に電話してきたのか!!」

びっくりした。確かに退院してから家で言ってもいい事だったけれど
退院の時の事があるから電話をしたのに。
「違うよ!退院するって聞いたから、
お兄ちゃんが行かないなら私が行かなきゃと思ってかけたんだよ!!」
そういう私に父は「お前なんかあてにしてないよ」と言った。
頭にきたし、すごく悲しかった。
「あっそう!!」それだけ言って電話を切った。
強気で電話を切ったが、切った後1人で泣いた。
そして、明日家に帰ろうと思っていたけれど帰れなくなった。

父の退院の日、制服のまま遊び歩いて、夜 母の家に帰った。
私が帰ると寝ていた母が起きてきて、驚いたように
「あんた家に帰らなかったの!?」と言う。

昨日の電話での経緯を母に話し「だから帰れない」と言った。
母はそれでも、「お母さんが一緒に行ってあげるから帰りなさい」と着替え始めた。
もう夜なのに、なぜそんなに帰そうとするのかわからなかった。
私は母に質問した事を思い出していた。
“このままここに居たらお父さんは学費をもう出してくれないと思う?“

私は絶望していた。もうこれ以上笑えなかった。
「自分勝手に出ていって、結局お金がないからって私を追い出すんでしょう!」
吐きつけるように母に言葉を投げつけて母の家を飛び出した。

もう誰もいない。もうどこへも行けない。
どうして生きているの。どうして生きていなければいけないの。
どこへ行けばいいの。どうすればいいの。
誰か助けて・・・・!!!


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